コンセプト
Ayumi は、いまの時代に AI と一緒に考えるためのいくつかの「主張」をベースに作られています。このページはアプリの “なぜ” — 機能のひとつひとつを支えている原則をまとめたものです。
ローカルファーストであること
Section titled “ローカルファーストであること”Ayumi で書いたエントリーはすべて、自分のディスク(あるいは指定した iCloud Drive フォルダ)上の素の Markdown ファイルです。独自のデータベースも、不透明な同期レイヤーも、アクセスを失う可能性のあるアカウントもありません。
- 指定したフォルダはあくまで あなたのもの。今すぐ Finder で開けます。
- エントリーは YAML フロントマター付きの
.mdファイルで、添付は隣接する.assets/フォルダに置かれます。 - Gemini API キーを設定して文字起こしを依頼するなど、自分でデータを送信する操作をしない限り、何も端末の外には出ません。
この点が、他のすべての考え方の土台になっています。
日記の主権は自分が持つ
Section titled “日記の主権は自分が持つ”日記は、人が書くもののなかでもっともプライベートなデータです。誰にも話していない迷い、体調や人間関係の記録、まだ形になっていない計画 — 本来、誰かに預けることを前提にしていない言葉ばかりです。
一方で、クラウドサービスからの情報漏洩はもはや珍しいことではありません。AI エージェントによって攻撃が自動化され、侵害の規模も頻度も増しています。日記をどこかのサーバーに預けるということは、「自分のいちばん私的な言葉が、どこに、どう保管されているのか分からない」状態を受け入れることでもあります。
Ayumi は、そもそもそれを心配しなくていい設計を選んでいます。日記のデータは自分が完全に主権を持つべきものなので、セキュアなローカルに、ファイルとしてファーストクラスで置く。AI はそのファイルに対して、自分が決めたタイミングでだけ使う。この 2 つを切り離すことを、Ayumi はもっとも大事にしています。
- 日記はファイルとして手元に置く。 エントリーは自分のデバイス(または自分で選んだ iCloud Drive フォルダ)にある Markdown ファイルです。Ayumi にはデータを預かるサーバーもアカウント登録もありません。どこに保管されているかを知っているのも、管理しているのも自分です。
- AI に送るかどうかは、その都度自分で決める。 音声の文字起こしは標準でオンデバイス処理なので、音声は端末から出ません。クラウドの AI を使うのは、自分で API キーを設定し、そのプロファイルを選んだときだけ。録音ごとにエンジンを切り替えられるので、「この録音はオンデバイスで、こちらは Gemini で整形」と 1 件ずつ判断できます。
- つなぐ AI プロバイダーも自分で選ぶ。 Google・Meta・xAI・Groq のうち、自分が信頼できると判断したプロバイダーに、自分の API キーで直接接続します。Ayumi が間に入ってデータを中継・保存することはありません。API キーは Keychain に保存されます。
AI 処理はローカルで完結させてもいいし、必要なときだけ安心できるプロバイダーに渡してもいい。どちらを選ぶにしても、データ送信のコントロールは常に自分の手元にあります。
Markdown は LLM 時代の基盤フォーマット
Section titled “Markdown は LLM 時代の基盤フォーマット”Markdown は耐久性が高く、可搬性も高く、LLM が最も自然に読める形式です。最新世代のモデルも、去年のモデルも、来年出てくるモデルも、Markdown はファーストクラスで扱えます。ツールやエージェントは入れ替わるけれど、ディスク上のテキストはそれより長く残ります。
Markdown を選ぶことは、単なる好みの問題ではありません。思考を整理した同じファイル群が、変換も書き出しもロックインもなく、好きな生成 AI ツールの一級コンテキストとしてそのまま使える、ということを意味します。
パーソナルな AI に足りない、あなたの「考え」
Section titled “パーソナルな AI に足りない、あなたの「考え」”AI アシスタントは、あなた個人に合わせたものになりつつあります。メールや写真、検索履歴を読んで、あなたの生活の文脈に沿って答えられるようになりました。便利ですが、そこに入っているものをよく見ると、残っているのは「起きたこと」の記録です。受け取ったもの、撮ったもの、調べたもの。
そこにないのは、それについてあなたが「何を考えたか」です。なぜその判断をしたのか、まだ口にしていない迷い、今朝の散歩で浮かんだアイデア。こうしたものはメールボックスに届かないので、連携するアプリを増やしても AI には渡りません。
AI を作る企業はいま、パーソナル・スーパーインテリジェンスを作ろうとしています。Meta のマーク・ザッカーバーグは書簡「Personal Superintelligence」で、それを「あなたを深く知り、目標の実現を助ける AI」として描いています。ただ、いちばん優れたモデルは毎年のように入れ替わります。最新のものに乗り換えられるかどうかは、あなたについての文脈をどこに置いているかで決まります。ひとつの会社のアカウントの中にあれば、その会社の AI から離れにくくなります。
スーパーインテリジェンスは、いつでも最新のものに入れ替えられるように。そのために、パーソナルコンテキストは自分の手元で管理する。
Ayumi は、この抜け落ちた層を残すために作られています。しかも誰かのアカウントの中のデータではなく、あなたが持つファイルとして。だから、どの AI を選んでも、あなたの条件のもとで、本当のあなたを手がかりに考えてもらえます。Gemini にコピーを渡すこともできます。詳しくは Gemini のパーソナル インテリジェンスで日記を使う を参照してください。
本当のボトルネックは「捕まえる速度」
Section titled “本当のボトルネックは「捕まえる速度」”ノート術の多くは、効果の出にくいところを最適化しがちです。フォルダ構成、タグ体系、テンプレート、デイリーノートの仕組み — どれも整理上の関心事で、もちろん意味はあるけれど、本質的な制約ではありません。
AI と一緒に考えたいときの本質的な制約は、頭の中にあるものを、消える前にどれだけテキストにできるか です。半分しか形になっていないアイデア、散歩中のちょっとした脱線、会議で言いそびれたあの一言 — どれもファイルに辿り着かなければ、AI のコンテキストにはなり得ません。
考えていることを素早く・完全に吐き出せないと、AI は「あなたそのもの」ではなく「あなたのスケッチ」を相手に作業することになってしまいます。
このギャップを埋めるために Ayumi はあります。
Ayumi が捕捉のフリクションをどう削るか
Section titled “Ayumi が捕捉のフリクションをどう削るか”Ayumi のすべての機能は、ひとつの問いに奉仕しています — 消える前にその思考を外に出せたか?
- ハードウェアトリガーからの Quick Entry。 アクションボタン・背面タップ・任意の iOS ショートカットに紐付ければ、ワンプッシュで捕捉できます。アプリを切り替える必要も、ロックを解除してノートアプリを起動する必要もありません。具体的なパターンは iOS ショートカット を参照してください。
- バックグラウンド音声録音。 録音を始めて、画面をロックして、そのまま歩き続けられます。ポッドキャストのように好きなだけ独り語りができ、Live Activity 経由で Dynamic Island から停止操作も可能です。
- シーンに合った AI 文字起こし。 ありのままに残したいときは Apple のオンデバイス文字起こしを、AI に独り語りを構造化して整形してほしいときは独自プロンプトを設定した Gemini を、と使い分けられます。詳しくは 音声録音 を参照。
- コンテキストの自動付与。 すべてのエントリーに位置情報と天気が自動で記録されるので、思考が生まれた現場の空気感が手間なく一緒に保存されます。
目指していることはシンプルです — 「思いついた」と「その思いつきが Markdown としてディスクに乗っている」のあいだの抵抗を、できる限り 0 に近づけること。
ファイルは自分のもの、ツールチェーンも自分で選ぶ
Section titled “ファイルは自分のもの、ツールチェーンも自分で選ぶ”Ayumi は意識的にスコープを狭くしています。これは 捕捉 のためのツールであって、ナレッジグラフでも、AI エージェントでも、フル機能のエディタでも、レビュアーでもありません。考えが Markdown としてディスクに乗ってしまえば、その先のループは好きなツールで自由に回せます。
- Claude Cowork — Ayumi のフォルダを指定すれば、ノート群を横断したマルチステップ作業を任せられます。週次の要約(distill)、数ヶ月分のエントリーからのテーマ抽出、一括の整理、定期実行のレビューなど。Cowork はローカルファイルを直接読み書きできるので、ファイルシステム上にそのまま残るジャーナルと特に相性が良い組み合わせです。
- Obsidian — 同じフォルダを vault として開けば、バックリンク・グラフビュー・豊富なプラグイン群がそのまま使えます。データ移行は不要。
- Cursor / Cline / ターミナル上の Claude Code — ジャーナルをワークスペースとして開き、選んだ AI と対話しながら編集できます。
- 任意のテキストエディタ — VS Code・Vim・メモ帳・
.mdを開けるものなら何でも。 - 自作のスクリプト —
grep・rg・git log・Python のノートブック。フォルダはただのテキストファイルの集まりなので、好きなように扱えます。
気が変わったら、いつでも別のツールに切り替えられます。ファイルは 1 行も動きません。これがローカルファースト × プレーン Markdown が実現してくれることです。
次に読むもの
Section titled “次に読むもの”- はじめに — Ayumi をインストールし、ジャーナル用フォルダを選ぶ
- エントリーを書く — 日常的な書き込み画面の使い方
- iOS ショートカット — ワンプッシュ捕捉のための具体的なパターン
- 音声録音 — モノローグを録音して AI で文字起こし
- プライバシーポリシー — Ayumi がアクセスするデータと、その扱い
同じ開発元のアプリ: 鍛 Kitae(シンプルな筋トレ記録)
Ayumi Journal 編集部: note · X (@AyumiJournalApp)